高校2年生の黒瀬令児(荒木飛羽)は、町や家族に縛られながらもただ生きていた。彼の家族は、認知症の祖母とその介護に追われる母親、引きこもりの兄との窮屈な4人暮らしであった。さらに、5年前に家を出て行った父親は行方不明で、その状況下で令児には特に将来の夢もなかった。彼は町を出たいという気持ちがあったが、少しでも母親を楽にさせるために大学に進学せず、就職を希望していた。しかし、彼が漠然と日々を過ごしていた時、運命の出会いが訪れる。彼の憧れのアイドルである青江ナギが町に現れたのだ。そして、ナギは彼に「心中」を持ちかけてくるのだった。令児は自分には生きることへの希望があるのか、この先に「光」があるのかを考える。彼を取り巻くのは、町を出ると約束した幼馴染、執拗につきまとう教師、息子を縛る母親、そしてかつての親友である。彼らとの関係の中で、絶望の淵に漂う少年のスーサイドラブストーリーが幕を開けるのである。